
2019.03.14
PLAYISMよりPS4/Nintendo Switch版『ナイト・イン・ザ・ウッズ (Night in the Woods)』を日本語ローカライズし、3月28日から配信開始することが決定しました!めでたい!(あ、PC版もちょっと遅れるかもしれませんが日本語対応されます。)
2Dゲームなのにまさかの6GBありますので、Nintendo Switch版買う!って方は、あらかじめDLされることをオススメします。

本作は、IGFという世界最大のインディーゲームアワードで昨年グランプリをとり、あとナラティブ部門でも受賞するなど、数々の賞を受賞。アドベンチャーゲームとしては世界最高峰の作品として名高いタイトルです。

「HE’S GOT THAT ASS.」

正解は、「ケツがたまんねーよなあ。」でした。
ということでローカライズ作業を進めながらも、わかりやすくこのゲームを紹介しなければならんなと割と長い間もやもや考えていたのですが……となんと発売日があと二週間足らずに迫ってきまして、なかなか一言でサクッと言い切るのは余りに難しいから、これはちょっと長めのレビューというか、感想文というか、紹介文でも書こうかなと思いました。
本作は、ジャンルでいうと2Dアドベンチャーゲームで、ポッサム・スプリングという山間にある小さな田舎町を飛んだり跳ねたり走ったり行ったり来たりして両親やご近所さんや友だちと会話を繰り広げていくゲームです。

街並みからして、キュート。
はい、本作は、アドベンチャーゲームです。移動の最中に三段ジャンプもできますので、ごくわずかなアクションゲーム性もありますが、スキルを伸ばしたら空中でもう一度ジャンプできるようになるとか、緊急回避ができるとかそういうのはありません。どなたさまもゆったりお楽しみいただけます。
合間にはミニゲームが用意されており、自販機からジュースを取り出したり、バンドでベースを弾いたり(ライブせず、スタジオで騒いでるだけという辺りが悲しい)、あと万引きしたり、バットで蛍光灯を叩き割ったり、バットで車を叩き壊したりできます。

不穏なミニゲーム。
割と不穏なミニゲームなんですが、そもそもこのゲーム、見た目はほのぼの系ですが結構不穏なゲームなんですね。
主人公であるネコの(姿をした)メイちゃんは二十歳の女の子。大学を中退して故郷に戻ってきた、だいぶパンクな女の子。口の悪いやさぐれた子です。

パーティーでクソ野郎であることを自白するメイちゃん。
彼女は何をするわけでもなく帰ってきましたから、数年ぶりの、様変わりした故郷を見て回り、かつての友人たちとまた一緒に遊び始めます。
しかし、時間を経て、それぞれに出会いがあり、別れがあり、傷ついたりもして、会っていなかった数年の間に変わっていました。かつての友人たちとの軋み、すれ違いに、感情をあらわにすることもあるけれど、それでもやっぱり友人で……。

両親たちからは、優しくされつつも、ちょっと腫れ物扱いされていたりしていますし、町の人たちと会話を進めるにつれて、この子、過去に何かあったよね?というのをプレイヤーは少しずつ知ることになります。やがては帰ってきた故郷にも、実はこのメイちゃんの安住の居場所はあんまりないんじゃないか?というのをちょっとずつプレイヤーは感じていきます。
会話が深まるほど、どうにもならぬ距離を感じる切なさ。この子は何だか、とても苦しんでる女の子なのです。

追い詰められるメイちゃん。
さて、そんなメイちゃんは、夜になると、悪夢を見るようになります。昼は町を走り回ってお友達と遊びつつ、おうちに帰れば、毎晩悪夢。辛すぎる。

悪夢をさまようメイちゃん。
そうこうしているうちに、町で巻き起こる奇怪な事件にメイたちは気づき……というお話です。
この先はネタバレの領域に入ってきますので割愛しますが、そういう友人とか家族とか横のつながりだけでなく、町の過去やら歴史やら、縦のつながりも現れ、このメイちゃんという一個人のアイデンティティー、存在なるものを縦から横から大きく揺るがし、人間の存在というものを浮き彫りにしていきます……。
物語のどこかのポイントで、いつしかこのキュートな動物の姿をした面々が完全に動物に見えなくなり、もうこれは自分のことなんじゃないか、自分の友人のことなんじゃないかと強烈に共感し始め、心震わされる瞬間がきっと訪れるでしょう……という素敵なアドベンチャーゲームです……。
伝わりましたかね…………。
本作、人によって、感じ方は大きく異なるでしょうし、もしかするとクリアした後にこのゲームは何だったんだと頭を抱える方もいるかもしれません。私はプレイ後しばらく茫然としましたけども、いずれにせよ上述の紹介文もプレイヤーの一人に過ぎない私がそう思った、という主観に満ちた紹介にすぎません。
ゲームとは、インタラクティブに楽しめる面白いもの、ではまああるのですが、それと共に、映画や小説や音楽や絵画や舞台や……と同じ表現方法の一つですよね。
ゲームというものが今までなかなか到達できなかった部分の人間の感情を『ナイト・イン・ザ・ウッズ (Night in the Woods)』がはじめて動かせたというか。そういう意味で、本当にすごいゲームなんですね。ゲームの表現の領域を新たに切り開いた一作というか、ゲームって、こういうことできたんだという感動があります。
とっても大人向けのゲームで、なんかちょっとね、哲学的なにおいもするゲームなんですよ。
今回の日本語版制作の作業は、開発者さんにご協力をいただきつつ、ほぼほぼすべてを我々PLAYISMチームで実施いたしました。
英語スラング問題は、そう言えばこちらもローカライズ不可能では?と言われたSUDA51の『シルバー事件』を翻訳した口の悪いアメリカ人翻訳者が担当。最後の最後の日本語チェックは担当プロデューサーが実施。
組込みは『シルバー事件』リメイクや『殺戮の天使』Nintendo Switch版の移植を実施したプログラマー陣がフォントのうにょうにょ動く感じを日本語で再現し、組み込み。英語の新聞記事などは、ウチのデザイナーが再デザイン。


そして最後に、これどうすんだよ……と頭を抱えた英語の絵日記は、ウチの女子デザイナーさんによる手書き。二百ページくらいあったわ。


あれ、ウチって結構すごくない?とちょっと思った、という自慢です。
どうぞ『ナイト・イン・ザ・ウッズ(Night in the Woods)』、ご期待くださいませ。発売は3/28です。
公式サイト: https://playism.com/ja/product/night-in-the-woods
ニンテンドーeショップページ(あらかじめDLスタートしてます): https://ec.nintendo.com/JP/ja/titles/70010000018716
PS4ソフトウェアカタログページ:https://www.jp.playstation.com/games/night-in-the-woods-ps4/
※Steam日本語版はFinjiより同時期販売予定、Xbox One日本語版は現在公開時期未定