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2014.07.18

インディーゲームはDRMフリーであるべし……か?

インディーゲームはほとんどの場合、デジタルコンテンツをダウンロード販売しており、またその主戦場は何だかんだでPCプラットフォームです。というわけで、ゲームデータがネットを介してあっちへ行ったりこっちへ行ったりしやすいものなので、違法ダウンロード対策を結構考えなければならないのです。

そもそもDRMとは

DRMとは、Digital Rights Managementの略で、日本語で言えば、デジタル権利の管理、要はデジタルコンテンツをコピーされないようにする施策のことです。
で、その施策というのは買った人に、「私は買いましたよ」という一手間の証明をしてもらうものです。シリアル認証とかですね。ちょっとうがった言い方をすれば、つまりは買わない人ではなくて、買った人に手間を掛けさせるものです。カセット差して電源入れたらすぐ遊べた時代からすると、プレイヤー側の面倒が増えているのです。(DRMうんぬんのめんどくささとかそんなことより、あのインストール時間というヤツは、もっと短くならないんですかね)

反感を買うDRM

まあ、シリアルキーを最初に入れるくらいなら、喜んでやるのですが、もう一年以上前の話ですが、このDRM施策としてPCゲームの『Sim City』が起動のたびにネットワーク認証させるようにしたところ、ネットワークがパンクして認証できず、別にオンラインプレイしたくもない人でも、プレイすることさえできない、という自体を引き起こしたことがありました。多くのAAAタイトルが意地でもコピーさせない方向に進んで行く中で、プレイヤー側に不利益が起こる、という事例が実際に起こり始めてきたのです。

DRMフリーを標榜するインディーゲーム

というわけで、DRMを強烈に嫌う人もおりまして、海外ではSTEAMじゃないと買わないという人がいるのと同様、DRMフリーじゃないと買わないという層も事実存在するのです。だから、GOGさんがあれだけ打ち出してるわけですね。また、AAAタイトルの流れとは逆行して、ゲームプレイヤーはトモダチさ、DRMフリーで良いよ!ユーザーフレンドリーが一番だよね!というのがインディーゲームの多くのパターンです。

違法ダウンロードへの対抗策 1 値下げ

アマニタデザインはかつてマシナリウムの違法ダウンロードに対し、「ごめんね、僕たちがつけた値段が高かったんだね」と違法ダウンロード者に向けてセールを打つという、あまりにカッコイイセールを行ったことがあります。

Machinarium海賊に向けたセール

海賊に救いの手を差し伸べるMachinariumの住民

遊びたいけど、高いということは、あるかもしれません。皆、ここまで開き直っちゃおうぜ!というのも、無理があるなと。

違法ダウンロードへの対抗策 2 違法コピー分を宣伝と見なす

また、違法ダウンロードのおかげで宣伝になるじゃないか、という説もあります。ゲーム開発会社シミュレーション『Game Dev Tycoon』の事例をひとつ。
 
このゲーム、発売日に完成したゲームをネットの海に放流したのです。ただし、「海賊版にやられて売り上げ激減!」という仕組みをわざとつけて放流して話題になりました。GameSparkさんの記事によると、

サーバーへ送られたデータを解析したところ、発売から1日で214人が7.99ドルを支払い購入したのに対し、全体の93.6%以上にあたる3,104人のユーザーがクラックバージョンの『Game Dev Tycoon』を入手していたとGreenheartは伝えています。

とのこと。で、まあ、このゲームは確かに後々結構売れたのですね。
ただ、この理屈でいうと割られたゲームは全部売れるという話になるので、これも当然支持しがたい。まあ……少なくとも日本国内では割られたから売れた、というのは実感できるものではないと思います。かと言って、違法ダウンロードの数をそのまま全部被害額に数えることがありますが、もともとその層が購入する層だったのか、というと微妙でして、売上につながるかどうかはさておき、確かに違法ダウンロードが多い方がユーザー数自体は底上げになるかもしれません。

インディークリエイターは自己防衛の術を学ぼう

まあ悲しいものでどんなコピーガードを掛けても破られるのは世の常ですし、小予算で開発し、単価1000円くらいで販売するインディークリエイターにとっては、余計な予算とフェーズが増えるくらいならつけない方が得なんじゃないかという気もしつつ、やっぱり個別にプロダクトキー発行くらいはした方がいいかなと思います。ものによっては、流通した人がわかるようです。(SmokingWOLF作品とかはそうなっているらしい)
 
一応最後に書いておきますが、DRMが掛かってようが掛かってなかろうが、宣伝になろうがならなかろうが、高かろうが何だろうが、正当化することは許されません。違法ダウンロードは泥棒行為に変わりはありませんよ。違法ダウンロード、ダメ、ゼッタイ。
さて、とにもかくにも、DRMフリーを愛する人の言い分は、「買った人がめんどくさいのはイヤ、最悪、買ったゲームが遊べなくなるとかもっとイヤ」というものであり、とっととwebの海に流しやがれという宣言ではないはずですので、開発側、販売側としてはやはり違法アップロードは、どんどん消していかねばなりません。極度な放置は、「何だ買わなくてもよかったじゃないか」と購入者にとって最大の不利益となります。
というわけで、違法ダウンロード、無断アップデートへの対策について、別の記事として書いてみました。

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