
2015.08.29
考えてみれば、 D4 の販売をスタートする前にやればよかったのですが、レッドシーズプロファイルというゲームをご紹介したいと思います。
200X年、7月――。アメリカ北部、美しい自然に囲まれた田舎町「Greenvale(グリーンベイル)」。平和な日常に包まれる小さな町で、ある猟奇的な事件が発生する。
雨の降る静かな夜、町はずれの森で無惨な少女の死体が発見された。
被害者の名は、アンナ・グレアム。地元の感謝祭を数日後に控えた、その年のミス・グリーンベイルであった。
突然の惨劇に驚きを隠せない住人達……すると、その中の一人が口を開いた。
『雨の殺人鬼』伝説。一瞬にして、場が凍り付いた。そう、この町には封印された「黒い過去」がとりついていた。
――数日後。グリーンベイル保安官事務所に見慣れない男性が一人。怪訝そうに様子を伺う保安官に対して、彼は言った……「全ての犯罪に『理由』がある限り、完全犯罪など存在しない。それを私が証明しよう。」彼の名はフランシス・ヨーク・モーガン。事件解決のため、この地を訪れたFBI捜査官、その人であった。
カナダとの国境にほど近い人口150人あまりの小さな町…「Greenvale」と呼ばれるこの町は、その名のとおり静かな雨のふる森に囲まれていた。
しっとりと湿った空気と、うっすらと広がる霧がなんとも言えない雰囲気を持っている。美しい自然に約まれながら、家族のように暮らす住人たち。
彼らは、互いに知らぬ者などいないほど関係が深く、厚い信頼で結ばれていた。
まるで犯罪とは無縁の世界がそこにはあった。
しかし、この町には「黒い過去」があった。
1950年代の中頃、少女だけを狙った連続殺人事件が発生した。
犯人はレインコートをすっぽりとかぶり、雨の夜だけ現れるという。
凶器は伐採用の斧、うら若き少女たちは皆、見るも無残な姿となって発見された。
事件当時、地元警察とFBIによる全面捜査が行われたが、結局事件は迷宮入りとなってしまった。
後に言う『雨の殺人鬼』伝説である。
そして、ある雨の夜――アンナ・グレアムの死という一つの小石は静かな水面に大きな波紋を呼び起こすこととなる。表向きはいつもと変わらぬ生活を送りながらも、互いが互いを疑う住人たち…。ある者は口を閉ざし、ある者は武器を手に取った。
平和で静かだった町は――一夜にして疑心暗鬼の渦巻く、混沌の箱庭へと変貌してしまったのである。
本編主人公。30代半ばのFBI捜査官。シリアスになったり、不敵な笑みになったりの変化が激しく、どこか超越した雰囲気。自分の中のもう一人の人格ザックといつも会話しながら操作を進めていく。
町の保安官補。20代後半の美しく芯の強い女性。いつもは、制服を着ているのでその美しさはわかりにくいが、ヨークとバーに行く際、ドレスアップして艶やかな姿を見せる。ヨークに徐々に惹かれていく。
町の保安官。逞しく頼りがいのある存在。病気の母親と暮らしている。プロファイリングに興味を持つが、的外れなことが多い。その名前から、自分の祖先は木こりであったと推測している。
いつもガスマスクのようなものをかぶり、車椅子に乗った謎の老人。大変な資産家で、町から少し離れた城のような家に住む。変人だが、何か町の秘密を知っているような言動を行う。
ハリーの車椅子を押す、身なりの綺麗な美青年。町の人と直接口を利かないハリーの代わりに、コミュニケーションを取る。
連続殺人事件の捜査のために街へとやってきたヨークは、赤いレインコートを着た影が車道を横切ったせいでハンドリングを誤り、崖下に転落してしまう。
そこでヨークは、グリーンベイルという街の一面を垣間見ることになる……
そこから抜け出したヨークは、これから共に捜査をする同僚「ジョージ」と「エミリー」に出会い、本格的な捜査へ乗り出すのであった。
「グリーンベイル」では午前0時になると、町の人々が姿を消し、“常世”と呼ばれる幻想的な空間が発生し、シャドウ(影)と呼ばれる謎の敵が登場する。
「シャドウ」は人の怨念が乗り移った死体であり、自らの無念を訴えながらプレイヤーに襲い掛かってくる。
このパートではTPSゲームとなり、銃で撃ったりしてシャドウを倒しましょう。
ゲームは複数のエピソードに分かれており、1つのエピソードはいくつかのチャプターで構成されています。ドラマパートで捜査をし、バトルモードで勝利する。そしてチャプターをクリアすると次のチャプターに移り、エピソード内の最後のチャプターをクリアすると次のエピソードへと進んでいきます。
というわけで、サスペンスドラマのように展開していく、非常に怖くて不気味なゲームなのですが、狂気とコメディが入り混じっており、一体どこまでがボケなのか本気なのかわからないシュールな世界観と、すばらしい完成度のシナリオによって、世界ではカルト的な人気を持つ作品として知られております。
また、 あるサイトでは20点 、 あるサイトでは100点 がつけられ、世界で最も評価が分かれたゲームとしてギネス記録に認定されています。
ちなみに、 全体の平均点となるMetascoreは68点 で、賛否両論ありますが、どちらかというと高評価に寄っています。
さて、猟奇殺人の謎を暴いていくアドベンチャーゲームなのですが、このゲームでは時間が流れており、その生活の中でゲームを進めていきます。まず、朝目覚めたら、捜査への支度を整える。ミッションが言い渡されれば、目的地へと移動。歩いていくこともできますし、車を運転して移動することもできます。目的地では捜査を行い、事件の真相に迫ります。
また、ヒゲを剃ることができます。髭を剃ったところで何がどうというわけではありません。しかし、男ならば毎朝仕事前にヒゲを剃りますね。だから、ヒゲを剃りましょう。コーヒーも飲みます。服もクリーニングに出しましょう。
このゲームには、なんだか、たくさんのムダなものがあります。町の住民がそこで暮らしています。ゲームをする上では、住民があっちに行ったりこっちに行ったりするのは不便です。街の入り口でここはグリーンベイルです、と言ってくれた方が便利でしょう。しかし、そんな人はいません。
レッドシーズプロファイルの中には、8km四方に広がる町グリーンベイルが確かにそこにあり、そこで暮らしている150人以上の住民の生活が再現されています。これが、このゲームを稀有なものにしています。
とは言え、完成度の高いオープンワールド、を期待されるとそれはまたちょっと違うかもしれませんが、とにもかくにも、ここに何かプレイヤーを強烈に引きつける奇妙な箱庭が完成しているのは間違いないのです。
さて、レッドシーズプロファイルを生み出したのは、Sweryさんという方です。もしかしたら、 氏のTwitterをご覧になっている方の中には、Sweryさんを外国人と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、Sweryさんは日本人です。末弘 秀孝(すえひろ ひでたか)さんです。
これまでに、『 月華の剣士 』、『 トンバ!ザ・ワイルドアドベンチャー 』、『 スパイフィクション 』、『 ロード オブ アルカナ 』、『 ロード オブ アポカリプス 』などの開発に携わられてきました。
Sweryさんは『レッドシーズプロファイル』で評価を固められ、北米で最も影響力のある50人のクリエイターにも選出されています。
海外での人気はすさまじく、2015年のPAX Eastではサインの行列が途切れなかったり、D4PC版発表の際に東京インディーフェスでもサインをもらいにくる外国人のファンの方がしょっちゅう見られました。(PAXはともかく、東京インディーフェスは場所が秋葉原ですよ)
Xbox360版、あるいはPS3版でプレイすることができます。
公式サイト: http://www.marv.jp/special/game/rsp/
2015年3月には PS3のPSNでコンプリートエディション がリリースされましたので、これが今は一番お勧めですかね。
なお、PC版も出てます。

そんなレッドシーズプロファイルを生み出したSwery氏の最新作がD4 Dark Dreams Don't Dieです。