News

2016.12.26

Replica | Papers, Pleaseの陰鬱な物語性とPlease, Don't Touch Anythingのパズル性

Replica』は、SOMIさんが開発された、他人のスマホ覗き見ゲームです。最初のリリースは2016年7月7日と、ちょっと前のゲームではありますが、素晴らしい出来なのでぜひご紹介したいなと思います。

Replicaの開発者SOMIさんについて

まずはReplicaの開発者であるSOMIさんのことをご紹介しましょう。
somi
ご紹介しましょうと言っても、私もそれほど氏に関して情報を持ち合わせていないのですが、ここでは簡単に氏がつくった前作である『RETSNOM(レツノム)』という作品をご紹介します。『RETSNOM』は地形を部分的に「反転」させることで先へと進んでいく2Dプラットフォームゲームです。


この主人公が娘を救うお父さん、というような設定なのですが、奇妙な異世界のプラットフォームステージをネクタイを振り乱しながら走るドット絵が妙にグッときて、得も言われぬ物語性を秘めていると感じ、Indie Stream Fes. 2015でベストナラティブ賞に一票入れたのでした。
氏は韓国の方で、『6180 the moon』とか『Sugar Cube:Bittersweet Factory』のTurtle Creamさんとかも韓国のインディーゲーム界にいらっしゃいますが、韓国のインディーって結構すごいんだなあ……と思った経緯もあり、SOMIさんのことはちょっと気になっていたのですね。
で、氏が新たに放ったのが、この『Replica』だったわけです。

スマホの覗き見にあるゲーム性

『Replica』ではゲーム中はスマホの画面しか出てこなくて、ほんとにスマホを操作している感じで捜索を進めていきます。完全にどこかで見たことあるアイコンが並んでいます。
Replica スマホ
初見は、どんなゲームなのかも一切わかりません。というのもゲームが始まってあなたが最初にやることは、スマホのロックを解除することなのです。(スマホのロックと言えば、4桁の数字。4桁の数字と言えば……例えば、誕生日とかね……。)
と、まあそんな感じで、暗号に使われるであろう数字などなどを推理して、ロックをどんどん解除し、メールを盗み見たりして、その人の個人情報を暴いていくのです。こうしてスマホのロックを解除し、メールを見て推理していくというのは、考えてみればなるほど、これは確かにゲームだなと思えてきます。素晴らしい着眼点……!
Replica メール

スマホを覗き見る背徳感と正統性

他人のスマホを見るというのは、ちょっと背徳感のある行為ですね。ダメなんだけど、やると楽しいものかもしれません。しかしながら、もしこのゲームが、浮気調査をするためにスマホを覗き見ていたら、それは大層つまらなかったでしょう。でも、彼氏の浮気調査でもない限り、スマホを見る正統性というのは担保されないわけです。なぜスマホを見るのか……。
それを、本作では(ちょっとネタバレですが)テロに加担しているかもしれない若者に関して極秘調査をしているという設定を持ち込むことで解消しています。しかも主人公は、無理やりその調査に参加させられているという設定です。
これは相当設定の妙が発揮されており、見たくないし、相手も見られたくないだろうし、やりたくないんだけど、やらなきゃいけない。やっちゃいけないんだけど、やってるうちにハマってくる。どんどんこのスマホが持つ情報のすべてを暴き出したくなる……。という、覗き見る背徳感を味わいつつ、その正統性を担保しています。これはうまい設定だと思う。

Papers, PleaseとPlease, Don't Touch Anythingからの明らかな影響

そのため、舞台はかなりディストピアな世界観になっています。これはまさしく『Papers, Please』の世界です。スマホを持つ手の感じとかは、『Papers, Please』を生んだLucas Pope氏の新作『Return of the Obra Dinn』の感じも受けます。
Return of the Obra Dinn
また、この触っていけないボタンを触りまくるという仕組みは、『Please, Don't Touch Anything』のゲームシステムをうまく流用していますね。ちなみに、本作には『Please, Don't Touch Anything』という実績があります。影響は明らかですね。
先行する二つのインディーゲームの世界観、仕組みをうまく使って、スマホを覗き見るという形式に落とし込むことで新たなゲームとして構築しているわけですね。この手腕はなかなか鮮やかで、明らかに影響を見て取れるのに、新しいゲームとして完成しています。

Replicaを購入しよう

というわけで、ぜひ『Replica』をお楽しみくださいませ。定価も300円ほどととてもお安いです。プレイ時間としては数時間程度かなと思いますが、十分価値あります。現在、itch.io、SteamStore、App StoreGoogle Playで購入可能ですので、ぜひどうぞ。


Share

  • Twitter
  • Line
  • Facebook
Back to News
playism.com WordPress
Privacy Overview

This website uses cookies so that we can provide you with the best user experience possible. Cookie information is stored in your browser and performs functions such as recognising you when you return to our website and helping our team to understand which sections of the website you find most interesting and useful.